第六回セミナー開催報告

2019122日、京都市のFabCafe Kyotoにてソニー株式会社による寄付講座「ヒューマンオーグメンテーション学」の第6回セミナーが開催されました。前回までの「身体能力の拡張」「存在の拡張」「知覚の拡張」「認知能力の拡張」というテームに続き、今回は「味覚の拡張」をテーマとして、初めて東京を離れ、京都で3名の識者による講演およびパネルセッションが行われました。

はじめに同講座の暦本純一教授から講座での取り組みの紹介がありました。次に東京大学大学院情報学環特任助教の中村裕美先生から、「電気による味覚の拡張 健康とおいしさを両立するためのHuman Augmentation」と言うタイトルで電気を流して味覚をコントロールすると言う刺激的な研究の紹介がありました。また,立命館大学食マネジメント学部 准教授 野中朋美先生と,TOSS.inc 代表でシェフの高山仁志さんから「サステナブルな食の未来に向けて 調理レシピの曖昧性解釈によるシステム工学分析とメニュー開発」と言うタイトルで、調理レシピ、特に江戸時代の調理レシピに着目した料理の再現、自動調理の可能性や、プロのシェフが曖昧なレシピをもとにクリエイティビティを発揮した場合どのような料理を生み出すことができるのか、といった研究活動の紹介がありました。

パネルディスカッションでは、味覚と美味しさを分けて考える必要があることや、電気味覚の可能性など、人にとっての味覚、おいしさの拡張に関して様々な視点からの議論が行われました。

記事:石黒 祥生(客員准教授)
写真:蒋 仕心(修士課程)